ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

自給自足するニートをヒッピー2.0と呼んでみる

山奥ニート

和歌山県の山奥に自給自足で共同生活をしているニート達がいるらしい。家賃無料の古民家に住み、村民から依頼されるちょっとしたバイトをこなしながら暮らしているようだ。

「趣味はバックパッカー」とあるが、大学生にありがちな「旅人()」のようなチャラさとか妙なマイノリティ気取りみたいなのは全然無い。むしろ更新頻度も少なければ文章も淡白な方だと思う。

しかしやる気が無いとか辛いとかでは無く、生きることへの焦りや拘りを乗り超えた人の、どこか達観したような雰囲気をブログから感じ取れる。山奥でのゆったりとした生活リズムが伝わってくるところも僕は好きだ。

ブログだけでなくニコ生で何でも無い生活の様子を実況したり、新聞やニュースサイトの取材を受けたりなどメディアにも多少露出してるようだ。ただ僕がちょっと調べた限りでは、そこまで大々的に活動報告をしたりメンバー勧誘をしている訳ではなく、あくまでひっそりと暮らしている、というところがいかにもニートらしくて面白い

意識低い系シェアハウス

共同生活というと「シェアハウス」が思い浮かぶ。最近は単に生活費の節約の為というだけではなく、ビジネスの交友関係を広げたりコミュ力を高める為にシェアハウスに入居する人が多い(某TV番組の影響だろうか)。そういう意味では都会のシェアハウスは「意識高い系」だと言える。

一方で山奥ニートたちはシェアハウスと言っても「意識低い系」、というか「意識無い系」とでも言えるような生活形態だ。別に将来の為に野菜作りや家造りを学んでいる訳でも無いし、地方再生の為に活動しているという訳でも無さそうだ。つまり「未来」の為に意識を高めるのではなく、「今」を充実させるためにどうにか生きてみる、という感じだろうか。

「シンプルライフ」を突き詰めていくと「仕事」すら削ぎ落とされ、究極的には彼らのような自給自足に行き着くのだろうか。それでもネットは必ず残るというのが、ポイントだと思う。

彼らはニートだけどNEETではない

一応、草刈りなどのお手伝いを通じて「お駄賃収入」があるから働いていないわけではない。「基本的には自由に過ごし、必要な時に必要な分だけ働く」というスタンスから、広義的にニートと名乗っているんだろう。

確かに、ただ労働や職業訓練をしていないというより、働き方や生き方に対する違った価値観をもつ人をニートと呼ぶ風潮がある気はするけれど、本来のNEETの意味するところからは逸脱しすぎているようにも思う。

「ライフワークバランス」なんて言葉を頻繁に聞くことからも、そういう価値観の変化を感じるのは何もニートに限った話じゃない。現代の社会では、競争する前に試合を降りることを考える、もしくはもう既に降りてしまっている人がいる限り、山奥ニートのような存在は常に生まれ続けるんだと思う。

で、そういう人たちのことを指す言葉が無いから、今のところとりあえずニートと呼んでしまっているような気がする。

ヒッピー2.0

山で自給自足と聞くと、ヤマギシとかアーミッシュのようなヒッピー的なものを想像してしまう。けれど山奥ニートたちは別に「自然との共生」とか「文明の否定」みたいな宗教じみた理念があるという訳では無さそうだから、やっぱり現代社会における新しい立ち位置なのかもしれない(ネットはバリバリ使っているし)。まあでも、そのうち「そっち系」に走る可能性が無いとは言えないが。

ということで「ヒッピー2.0」とでも名付けてやろうかと思って検索したら、既にそういう概念を提唱してる人がいた。残念。

Urban Dictionary: Hippie 2.0

ドラッグの代わりにSNSやWebメディアにハマり、畑を耕す代わりにネットで起業して自給する。グローバリゼーションのおかげで必需品は安くなったけれど、嗜好品は高くなってる。でも彼らは「量より質」だから収入が少なくても全然問題無い。これが現代における理想主義、つまりヒッピー2.0だ!

ということらしい、多分。

これは僕が「ヒッピー2.0」に対して思っていたことと違っていて、家入一真みたいな社会起業家を指してるんだろうが、まあ広い意味では山奥ニート達もヒッピー2.0の範疇と考えていいと思う。というのも、一番重要なキーワードはネットコンテンツだからだ。

経済成長というのは、人の欲望が無限に続くことを前提にしている。でもここに来て、比較的少量で空腹を満たしてしまう人種が現れてしまった。言うまでも無くこれは「ネットを通じた低コストなコンテンツ消費」が可能になった影響だ。

そしてこのままヒッピー2.0が増えてしまうと、やっぱり経済成長って無理なんじゃないか。ということでベーシックインカムの話題が出て来そうだが、これはまた別の機会に考えてみたい。

 

僕もやっぱりそっち側の人間、つまりヒッピー2.0なんだと思う。山での自給自足もいいかもしれない。ただしネットが繋がる場所に限るが