ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

本当のクズにはなれない

風の噂で元カノに新しい彼氏ができたという話を聞き、僕はなんでもないような顔を装うのが精一杯で、内心かなりダメージを受けていた。あんな別れ方をしておいてもう新しい男か。女の恋は上書き保存とはよく聞くけど、なるほどこういうことかと納得した。

まあ僕も事象だけ並べれば、去年の年末はマッチングアプリに課金したり、週に何人もの女性とお酒を飲みに行ったりしていたわけで、全く人のことを言える立場では無い。そして今や、半年前の僕であれば軽蔑するような、ただのクズ男になってしまった。人間生きていればまあこういう時期もある、と言い聞かせてなんとか自分を保っている。

ここまで堕落してから思うのは、自分にはクズとか悪とかが全く似合わないということだ。遅れてきた反抗期なのか、そういったものに対する憧れがあっただけで、実際にその役を演じてみたところ、それを背負えるほどの器が無いことがよくわかった。嘘は苦手で、完全に自己中心的にはなれず、罪の意識を忘れることができない。

僕の周りの人や自分自身の経験でわかってきたのだが、どうやら浮気ができる人間とできない人間がいるらしい。その違いはいくつかパターンがあって、パートナーに悪いと思うから浮気しない人もいれば、悪いと確信しているが性欲とリスクを合理的に計算して行動する人もいる(これは僕の上司)。あと何も考えず本能的にヤッてしまう人もいるだろう。

さて僕はどうなんだろう。これまでは「できない側」だと思っていた。でも瞬間的には「できる側」になってしまうことが今回証明されたし、一度そちら側に足を踏み入れてしまうと、染まるとまではいかないが、善悪の基準が多少なり自分の行動に有利な方向へ修正されてしまうことにも気付いた。僕が弱い人間であるということだけでなく、世間にはこういう弱い人間がいるという事実が強化されたという点で、今回の気付きは意義深い。

自分に関して言えば、ある意味希望でもあると思う。落ちて落ちきったから、自分の底がどの程度なのかよくわかった。もし再び同じようなクズになったとしても、せいぜいこのレベルなんだと思うと少し安心できる。酔っ払っても喧嘩はしない、みたいな自信のようなものだ。

落ちたあとは、また真人間に戻るのみだ。罰の無い罪は扱いが難しい。なるべく時間をかけずに清算することがせめてもの償いになるだろうか。