ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

「やりたいことが無い」自分と向き合う10年

何かに憧れてベンチャー企業でがむしゃらに働き、自分だけじゃなく組織としての成長や失敗をたくさん見てきた。独立していくつもの仕事を掛け持ちし、最終的には銀行からお金を借りて事業を立ち上げたりもした。その結果わかったのは、僕には「成し遂げたいこと」や「実現したい世界」なんて無いってことだった。

「大した成功もしてないのに、何をわかった気になってるんだ」と自分でも思う。何か他に夢中になれるものがあるはず、って希望は捨てきれない。それでも、東京で働き始めて10年、自分なりに色々試してみた結果としての総括はしておいてもいいだろうし、少なくとも今の僕は、言い訳できないほどには迷走しきったと思う。

今回の転職活動でもたくさんの企業を見てきたけど、どこもかしこも魅力的な会社ばかりだった。もちろん、年収が高騰しがちなITエンジニアを雇おうとする以上、現状維持じゃなく、何かを目指す熱量があるのは当然だ。そういうバイアスを差し引いても、「ここで働きたい」と思える会社ばかりに見えた。

そう感じるのは、きっと自分の中に強いビジョンやミッションが無いからなんだろう。転職先について悩めば悩むほど、自分のこだわりの無さに向き合わざるを得ない。いい加減、ここらでひとまず決着をつけておきたい。

子どもの頃は宇宙に憧れてたけど、新聞の切り抜きを熱心に集めるほどの情熱は続かなかった。農家でのバイトやボランティアとか、それまでの自分には突飛なことをやってみたりもしたけど、それも長続きしなかった。

社会に出て、ITだけじゃどうにもならない物流のリアルに触れ、一時的に夢中になれたことは良かったけど、少し離れてしまえば、それもまた過去のものになった。

これまで何十社ものカジュアル面談を通じて様々な業界を見聞きしてきたのに、更に一歩踏み込もうって気持ちにはなれず、おそらく次の転職先でも、「これだ!」ってものを見つけることはないんだろう。

要するに、自分の中には「やりたいこと」なんてものが無い。でも、逆に見えてきた幼稚な願望がある。それは、「楽しく酒を飲める仲間と働きたい」ってことだ。

決して人付き合いが得意じゃないし、むしろ一人でいる方が好きなはずなのに、それでもこれまでの経験を振り返ると、誰かと一緒に何かをやることが楽しいと感じることが多かった。恥ずかしながら、それが自分の中で最後に残った「やりたいこと」なのかもしれない。

「社会貢献」なんて言葉を口にしてた頃が痛々しくも懐かしい。世の中には複雑な課題がたくさんあるけど、社会そのものが複雑だし競合しまくっている以上、「社会に貢献しない仕事」なんてものは存在しないことも、もう理解してる。

だからこそ、「何をするか」より「誰と働くか」に興味が移っていったのかもしれない。仕事の内容や社会的意義がどうでもいいわけではないけど、それが選択の決め手にはならないってことは、もう認めるべきなんだろう。

それにしても、これが10年働いた末の結論かと思うとなんだか笑えてくる。崇高なビジョンを掲げることもなく、革新的なアイデアに飛びつくこともなく、結局は「気の合う仲間と楽しく働きたい」なんて、ずいぶんシンプルなところに落ち着いたものだ。

どれだけ理屈をこねたところで、最後に決めるのは感情なんだろう。夢や野望がないからこそ、せめて楽しく過ごせる環境を選びたい。そんな怠けた結論も、10年を経てようやく堂々と言えるようになったんだから、悪くないと思う。

なんだかんだ言って、次の職場でもまた「社会貢献」なんて言葉を耳にしながら、それを適度に笑い飛ばして、仲間と楽しく酒を飲んでるんだろう。結局、自分にはそれくらいがちょうどいいのかもしれない。