職場で一番親しい友人が会社を去るらしい。
会社の将来はともかく、彼のポジションと仕事内容ではこのまま続けていても未来が開けないのは彼自身よくわかっていて、これまで何度となく、いつどこへ逃げ出すか二人で話してきた。辞めること自体は賛成だけれど、その後どこに行くかについて明確なアドバイスができないから、無理に背中を押すようなことはしてこなかった。「ようやく決心したか」というのが僕の率直な感想。
次を決めずに辞めるのはなかなかロックだし嫌いじゃないが、正直心配ではある。彼は僕ほど楽観的ではないしちゃんと考えられる頭を持っているからこそ、これから大いに悩むと思われる。そのとき僕はどんなサポートができるんだろうか。
聞けば彼も僕と同じで、今の会社はほとんど即決、ノリで決めたらしい。「そんな二人がこうして良い感じに出会えているわけで、結局のところ正解なんて無い」。こんな助言とも言えない、しょぼい自己啓発本みたいな言葉を絞りだすのが僕の限界だと思うと本当に情けない。今さらそんな文句で変われるほど、彼はヤワな奴じゃない。
そんなことを考えていて一つ気づいたことがある。僕は自分以外の人間がどうやって生きているのか、全然わからない。
今の時代ほとんどの人が転職を経験していて、誰もが同じように自身の将来について悩んできた結果として今があるはず。もちろん知り合いや同僚から経歴や経験の話は聞くが、それらを断片的な情報としか見ておらず、連続的な意思決定のプロセスを深く知ろうとしてこなかったように思う。
十人十色とは言うが、考えてみれば不思議なことだ。みんなどこでどうやって、これまで生きてきたんだろう。他人の生き方に少し興味が沸いた。
独りよがりに「僕はこう思う」だけではなく、他人から得た生き方のパターンみたいなものも提示することができれば、今まさに分岐に直面している彼のような人に対し、もっと有益で意味のあるアドバイスができるかもしれない。それはなかなか気分が良い気がする。
他人への興味と言いつつ、結局自己満足で駆動しているところは相変わらずだな。