ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

僕のコードは価値が無い

今の仕事に就いてからあと1ヶ月で4年になる。本当に早い。つまりはちょうど4年前は転職活動中だったということになる。

あの頃は現状から抜け出したいという思いが大きな原動力になっていた。自分以外に頼れる人もおらず、専門性を磨き続けなければいけないITエンジニアという職種にとっては最悪の環境だった。だから今の会社での「コードレビュー」だったり「勉強会」といった、ITエンジニアのチームとしては当たり前の環境がとても新鮮で、その意味で転職は成功だったと言える。

さて今はどうだろうか。自分の得意分野を伸ばしたいとか、欠けている部分を補いたいとか、そういう向上心が無いわけではないけど、いまいちモチベーションに繋がらないのは何故か。

多分それなりに出来ることが増えて自信もついたからこそ、これを何に活かすのかということに関心が移ったんだと思う。よくある普通のWebアプリケーションなら人並み以上のスピードとクオリティで作れると思っている節がある、というのは調子に乗りすぎだろうか。それでも本心として、単に自分の時間とお金を交換するだけの仕事は虚しく感じるようになってしまった。

以前まではプログラマとしての役割、つまり誰かが考案した施策を実行するためにひたすらコードを書けば良いと思っていた。事業の方針はビジネスサイドに任せ、自分はそれを信じて自分の得意なことをやる。僕はそれで経験を積めるし、ビジネス側の人間も「仕事」をしたことになるからWin-Winだ。そしていつかは黒字化するはず――なんて楽観的で視野狭窄だろうと、今となっては思う。

心境が変化したのは全く別の仕事をするようになったからだろう。1年間前、部署が変わり新規事業の立ち上げに関わるようになった。顧客が増え、物流規模が大きくなればなるほど赤字が膨らむような状況の中、その事業を運営するためのシステムを作ることに何の意味があるのか――自分の書いたコード自体には何の価値も無いことを思い知り、ビジネスモデルや競争戦略なんていう、今までイロモノ扱いして見て見ぬ振りをしてきた領域にどっぷりと浸かった1年であった。

また、去年は社外でのサイドプロジェクトにも参加し、なんとなく起業したい人が下手にメンバーを集められてしまった結果、空中分解して解散していくという場面に何度か遭遇した。こういったことに振り回されたくないと強く思ったし、本業の方の停滞感を思うと全く他人事じゃない。

「視座を高く持つ」なんてビジネス本で語り尽くされているテーマだし、辞めた先輩も同じようなことを言っていた。馬鹿にするわけでないけれど当時の僕には完全には理解できず、「意識高いなあ」と傍観者の振りをしていた気がする。今は彼と同じ視点を持てるようになっているのだとしたらそれは素直に嬉しく思う。

この4年間で出来ることは確かに増えたけれど、それは才能とか特別な努力のおかげじゃない。去年入社した新人たちだって数年経てば――というかそんなに時間を掛けずに同じことが出来るようになるだろう。だからこそ彼らとは別の視点を持ったり、やらないことを明確にしていく必要がありそうだ。

なるほどこれが年齢に対する焦りってやつかもしれない。良くも悪くも、人は自然に歳を取るものだな。