ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

一人と一匹

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この半年間はリモートワークを隠れ蓑にした社内ニートとして存分に無駄な時間を過ごしていた。仕事をしないからといって他に熱中していることがあるわけでもなく、本を読んだりYouTubeをダラダラ観たり、そして本当にやることが無くなるとベッドで仰向けになって天井のシミを数えたりしていた。このままだとここ何年間かで最も非生産的な年になりそうだけど、最近ちょっとした転機があった。

きっかけはおそらく生物系YouTuberの番組だったように思う。ヒョウモントカゲモドキ、通称レオパードゲッコー(レオパ)というヤモリに対して急に興味が湧き、その熱量のまま都内で開催されていた即売会イベントに赴き、結局この孤独な男の相棒として生後1ヵ月のベビーをお迎えしてしまった。

生き物の飼育なんて小学生の頃に繁殖させていたカマキリが最後だけど、そういや昔、草むらで捕まえた蛇を家に持ち帰って数日間世話したことがあった。その頃から漠然と爬虫類に憧れはあったのだろう。

飼育にあまり手がかからないレオパは爬虫類のペットとしては初心者向きらしいけど、観察しているとやっぱり生き物なんだなと思うことが多い。脱皮の直後なのに体が変色し始め、ほとんど餌を食べなくなってしまったことがあったが、実はそれも脱皮前の行動だったことが後からわかった。幼体の脱皮間隔は短いと聞いていたけどまさか1週間でまた脱皮するとは思わなかったし、相談できる知り合いもいないからかなり焦った。深夜に一人でオロオロしていた。

飼い始めてからまだ2週間足らずではあるけど、温度や湿度、シェルターや餌の種類など、健やかに育ってもらうために何が最適なのか、色々と試行錯誤することが多くて楽しい。今はとりあえずダイソーのプラスチックケースで飼育しているけど、ケージのレイアウトを作り込むには狭すぎるし、レオパにとっても温度や湿度に勾配がある多様な環境の方が望ましいだろうから、幅40cm程度の水槽に移し替えるべくAmazonを物色中だ。

ちなみに名前はまだ無い。8/6生まれなので核分裂や原子論などに関連する名前がいいかなと思ったけど『ドルトン』はあまり可愛くないしなあ。恥ずかしげもなくそんなことで悩んでいる時間もなかなか良いものだ。

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僕のコードは価値が無い

今の仕事に就いてからあと1ヶ月で4年になる。本当に早い。つまりはちょうど4年前は転職活動中だったということになる。

あの頃は現状から抜け出したいという思いが大きな原動力になっていた。自分以外に頼れる人もおらず、専門性を磨き続けなければいけないITエンジニアという職種にとっては最悪の環境だった。だから今の会社での「コードレビュー」だったり「勉強会」といった、ITエンジニアのチームとしては当たり前の環境がとても新鮮で、その意味で転職は成功だったと言える。

さて今はどうだろうか。自分の得意分野を伸ばしたいとか、欠けている部分を補いたいとか、そういう向上心が無いわけではないけど、いまいちモチベーションに繋がらないのは何故か。

多分それなりに出来ることが増えて自信もついたからこそ、これを何に活かすのかということに関心が移ったんだと思う。よくある普通のWebアプリケーションなら人並み以上のスピードとクオリティで作れると思っている節がある、というのは調子に乗りすぎだろうか。それでも本心として、単に自分の時間とお金を交換するだけの仕事は虚しく感じるようになってしまった。

以前まではプログラマとしての役割、つまり誰かが考案した施策を実行するためにひたすらコードを書けば良いと思っていた。事業の方針はビジネスサイドに任せ、自分はそれを信じて自分の得意なことをやる。僕はそれで経験を積めるし、ビジネス側の人間も「仕事」をしたことになるからWin-Winだ。そしていつかは黒字化するはず――なんて楽観的で視野狭窄だろうと、今となっては思う。

心境が変化したのは全く別の仕事をするようになったからだろう。1年間前、部署が変わり新規事業の立ち上げに関わるようになった。顧客が増え、物流規模が大きくなればなるほど赤字が膨らむような状況の中、その事業を運営するためのシステムを作ることに何の意味があるのか――自分の書いたコード自体には何の価値も無いことを思い知り、ビジネスモデルや競争戦略なんていう、今までイロモノ扱いして見て見ぬ振りをしてきた領域にどっぷりと浸かった1年であった。

また、去年は社外でのサイドプロジェクトにも参加し、なんとなく起業したい人が下手にメンバーを集められてしまった結果、空中分解して解散していくという場面に何度か遭遇した。こういったことに振り回されたくないと強く思ったし、本業の方の停滞感を思うと全く他人事じゃない。

「視座を高く持つ」なんてビジネス本で語り尽くされているテーマだし、辞めた先輩も同じようなことを言っていた。馬鹿にするわけでないけれど当時の僕には完全には理解できず、「意識高いなあ」と傍観者の振りをしていた気がする。今は彼と同じ視点を持てるようになっているのだとしたらそれは素直に嬉しく思う。

この4年間で出来ることは確かに増えたけれど、それは才能とか特別な努力のおかげじゃない。去年入社した新人たちだって数年経てば――というかそんなに時間を掛けずに同じことが出来るようになるだろう。だからこそ彼らとは別の視点を持ったり、やらないことを明確にしていく必要がありそうだ。

なるほどこれが年齢に対する焦りってやつかもしれない。良くも悪くも、人は自然に歳を取るものだな。

今年は他人の生き方に興味をもつ

職場で一番親しい友人が会社を去るらしい。

会社の将来はともかく、彼のポジションと仕事内容ではこのまま続けていても未来が開けないのは彼自身よくわかっていて、これまで何度となく、いつどこへ逃げ出すか二人で話してきた。辞めること自体は賛成だけれど、その後どこに行くかについて明確なアドバイスができないから、無理に背中を押すようなことはしてこなかった。「ようやく決心したか」というのが僕の率直な感想。

次を決めずに辞めるのはなかなかロックだし嫌いじゃないが、正直心配ではある。彼は僕ほど楽観的ではないしちゃんと考えられる頭を持っているからこそ、これから大いに悩むと思われる。そのとき僕はどんなサポートができるんだろうか。

聞けば彼も僕と同じで、今の会社はほとんど即決、ノリで決めたらしい。「そんな二人がこうして良い感じに出会えているわけで、結局のところ正解なんて無い」。こんな助言とも言えない、しょぼい自己啓発本みたいな言葉を絞りだすのが僕の限界だと思うと本当に情けない。今さらそんな文句で変われるほど、彼はヤワな奴じゃない。

そんなことを考えていて一つ気づいたことがある。僕は自分以外の人間がどうやって生きているのか、全然わからない。

今の時代ほとんどの人が転職を経験していて、誰もが同じように自身の将来について悩んできた結果として今があるはず。もちろん知り合いや同僚から経歴や経験の話は聞くが、それらを断片的な情報としか見ておらず、連続的な意思決定のプロセスを深く知ろうとしてこなかったように思う。

十人十色とは言うが、考えてみれば不思議なことだ。みんなどこでどうやって、これまで生きてきたんだろう。他人の生き方に少し興味が沸いた。

独りよがりに「僕はこう思う」だけではなく、他人から得た生き方のパターンみたいなものも提示することができれば、今まさに分岐に直面している彼のような人に対し、もっと有益で意味のあるアドバイスができるかもしれない。それはなかなか気分が良い気がする。

他人への興味と言いつつ、結局自己満足で駆動しているところは相変わらずだな。

サイドビジネスで退屈をしのぐ

最近、会社以外の仕事をいくつか始めた。仕事と言っても報酬が発生しているのは1つだけで、他は事業化を目指しているものの芽が出るかどうかもわからないフェーズだから部活動のような感じだ。僕としては新しい試みであったわけだけど、いまのところは踏み出してみて良かったと思っている。

春から夏にかけて、本職の方では新型コロナの煽りを受けて新規事業を立ち上げたりしていたので気分はそこそこノッていたと思う。これをやりがいと捉えることもできるのかもしれないけど、それでも「このタイミングでこういう意思決定をするのか……」という、会社に対する失望の念があり、わりと本気で転職を考えて久々にWantedlyのスカウトメッセージに返信したりオンラインでカジュアル面談を受けてみたものの、転職するほどの手応えは無かった。そこで選択肢が多少増えればいいかという軽い気持ちでビジネスマッチングサイトに登録してみたわけだ。

サイトの投稿頻度を見る分には決して盛り上がっているとは言えず、あまり期待もしてなかったのに、かなりの数の勧誘メッセージが届いた。もちろん明らかに怪しい匂いのする誘いも多々あるが、比較的まともそうな人とオンラインで話してお互いに相性を確かめたりした結果、現在は3つのグループに所属している。

転職となると基本的には組織を1つに決めねばならず、これはなかなかリスクが高い。一方でサイドビジネスとしての参加であれば、今もそうだけど同時に複数の組織に所属できるので、比較したり評価ができる点も良いと思う。

こう気楽に考えられるのはメンバーとしての参加だからであって、プロジェクトを立ち上げる側は慎重に人を見極める必要がある。エンジニアと名乗っていても、本気で起業を考えている人もいれば、ただ自分のポートフォリオになればいいというくらいの感覚で付き合っている人もいるし、完全に副業、つまり報酬が無いとやらないという人もいる。実際、僕が最初に入ったチームはメンバー間での温度差が顕になりつつあり、プロジェクトはある程度進んでいるものの、今後はリーダーのマネジメント能力が試されそうだ(残念ながら既に離散しかかっている……)。

最も期待しているのは最近正式にメンバーとなった3つめのチームで、そこは既に3つの事業計画と9人のメンバーがおり、しかも肩書が並々ならない。無謀なチャレンジなのか冷やかしなのかわからないテンションで面談に挑んでみたが、これがとてもまともなチームで、最終的に全員とオンラインで会話し承認してもらった。ビジネスモデルに関しては当然僕なんかが思いつかないという点で新鮮さがあって興味深いが、何よりリーダーが集めたメンバーのバランスが非常に良い。逆に良すぎて、好きな映画や小説に出てくる精鋭チームを意識しているように思えなくもないが、そういうこだわりは僕も好きな方なので、これから全力で食らいついていきたい。

これらのサイドプロジェクトがどこまで伸びるのか、いつまで続くのかはわからないし、今の会社をいつ見切ることになるかも見えてはいないけれど、とりあえず新しい出会いや刺激を生むきっかけ程度にはなってくれそうだし、あわよくば人生の退退屈しのぎになれば最高だ。

サブカルバツイチ前夜

また性懲りもなくマッチングアプリを再開してしまった。別れたばかりとは言え、ちゃんとフリーだから今回は無罪。

前回は己に対する卑屈さが邪魔をして、自分から人を選べなかったのが敗因だったと思う。かつてのmixi (やったことない) のようにひたすら足跡を付けまくって釣れたらラッキーぐらいの気持ちで挑んだ結果、こんなもんやろという諦めとともに落ち着いてしまったけど、そういう妥協をきれいさっぱり拭い去るのはなかなか難しいということを学んだ。

とはいえ僕のスペックは一般市場価値が無いから、自分から行動したところで成果は知れている。今回は運営の誘導に忠実に従い自分から「いいね」ボタンを押しまくってみたが、50件近くアプローチして実際に会うところまで漕ぎ着けたのはたった一人。持ち駒というと言葉は悪いけど、本当にそれだけしか残ってない。

しかもこの唯一の駒がなかなか訳ありで、一言で説明すると「サブカルバツイチ3?歳」。おそらく自分には年上のパートナーが合っているという自覚はあるけど、5歳差以上は結構な冒険になる気がしている。

ただ、いろんな人とメッセージやビデオ通話でやり取りしていると、結局そういうクセのある人でないと面白くないと思ってしまうから本当に仕方がない。彼女は音楽が好きで、それも大衆的なノリではなく、ポストロック、インスト、ジャズ、フュージョンなど僕の好物にかなり近いし、逆に僕がもっていない絵画や彫刻などの芸術領域にも造詣が深く、また社会学や心理学、哲学方面の話もできる人だから、異性かどうかはもはや関係なく興味深い存在だ。多分僕はかなり夢中になってる。

酔った勢いでかなり調子にノッたことを書いているものの、自分に対する不安はしっかりとある。僕は前回も相手に対し、初めはこんな感情を持っていた気がするのだ。それなのに自分が捨てる側になってしまったことは大いに反省すべき点であるから、そこは気をつけないといけない。自覚が無いのが罪だけど、案外と僕は熱しやすく冷めやすいのかもしれない。

まあでもかなり無理矢理取り付けた面会ではあるから、普通にフラれて終わる可能性が非常に高いし、うまくいくビジョンは全く見えないからおそらくそうなるだろう。とりあえず今日はこの根拠の無いワクワクを大事にしながら、明日の本番に備えて眠ることにする。