ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

2018年春 その1

穏やかな春を過ごしている。

早朝、鳥が鳴き出す頃にベッドから抜け出し、電気ケトルの湯が沸くまでベランダで一服。業務スーパーで売っていた大して美味くも無いインスタントコーヒーを飲みながら、図書館で借りている数冊の本から適当なものを選んで読み進める。

1時間ほど経つと人や車の通りが増え、段々と街に慌ただしさが溢れてくる。その頃には自分の頭も平日モードに切り替わっていて、家を出るまでに行う支度とその時間配分の計算に支配される。本当は常にゆったりと時間を過ごしたいので、そんな些末なことは考えたくもないのだけれど。

シャワーを浴びた後は適当に朝食を済ませる。朝はパスタが多い。手軽に作れて腹持ちが良い上に、余った野菜の最終処分場としての機能も十分に備えている、独身者向きの料理だ。中でもカルボナーラ的な何か(正しい作り方を知らないし、とりあえず卵と粉チーズとブラックペッパー入れとけば良いと思ってる)をよく作るが、貧乏性を発揮して白身までしっかり入れてしまうので、見た目がなんかこうぐちゃっとした、大変残念な感じになる。料理は視覚情報も大事だと言うけれど、自分が作る場合はすでに味の予想がついているので見た目はあまり関係無い気がしている。

最近は自宅の最寄り駅ではなく、15分程度歩いた先の駅から乗るようにしている。毎朝徒歩15分はそれなりの距離だと思うが、通勤路である川沿いの遊歩道は不思議と距離を感じさせない。少しずつ進んでいく橋の改修工事を眺めるのも、毎日のちょっとした楽しみになっている。

ただ突っ立っているようにしか見えない工事のおじさんに挨拶したりもする。確か最初は向こうから声をかけてきて、僕がそれに応じて以来何となく習慣になってしまった。立ち止まって話をするわけではなく「おはようございます」だけ。会話したところで展開が無いだろうしお互いそれを望んでもいない。そういう妙な刹那的な関係というのがなんだか面白い。まあ僕の一方的な想像だけれど。

挨拶と言えば、朝の遊歩道ですれ違う人たち全員に挨拶して、相手が困惑する様子を楽しむという遊びなんてどうだろうか。例えば堂々と歩きタバコをする陰鬱な男がにこやかに挨拶してきたら、普通の人はどんな反応をするのだろう。挨拶を返す人、無視する人の割合は?年齢や性別で傾向はあるんだろうか?

そんなくだらないことを考えていると駅に到着している。そこから15分後にはオフィスの自分の席に着いていて、毎日10秒以上ずれる腕時計を正しく合わせた後、さて、ようやく仕事が始まる――。


去年の今頃とは仕事も住む場所も変わって、全然違う生活をしていることを思い出した。連続した日々に流されているとそういった差分に気付きにくいので、何の変哲もないある1日の生活の文章化を試みたが、意外とどうでも良いことの積み重ねだけで分量が多くなりそうだったので一旦ここで終わっておく。