ニートワークエンジニア

浪人、留年、休学、中退、ニート、エンジニア。回り道人生を謳歌中

ニートがブログ書いてたらスカウトされた

僕は以前ネットで知り合ったニート達と「にーとぽーたる」という共同ブログを運営していた。引き篭もりでもネットを使って何かしたい!っていう、タンポポのタネみたいなフワフワした気持ちがいくつ束になったところで、所詮ニート。スキルもネタもやる気も尽きて、結局数カ月ほどで解散してしまった。

そんなわけで、誰も更新しなくなった「にーとぽーたる」はネットの海の藻屑となりつつあるんだけど、そこにとあるIT会社のエンジニアの方からメッセージが届いた。

新手の詐欺か?

メッセージの内容は「キミが書いた記事面白かったから直接会わんか?」というものだった。初めはよくあるスパムかなと思ったんだけど、何となくメッセージに誠実さを感じたのでダメ元で返信してみたところ、今回僕にメッセージを送った経緯と、僕の記事に対する感想が千文字程度の長文にまとめられて返って来た。

なんでも、CodeIQという人材マッチングサービスを会社で利用しようとしていたが、あまり良い噂を聞かない。そこで色々と調べていたところ僕が書いたCodeIQに対する記事をたまたま読み、「批判的」ながらも「建設的」な内容に「ものづくり」の感性を感じ取ったので一度筆者に会ってみたい、と思ったそうだ。

「中退だし職歴もスキル無いしアラサーだし絶対的に僕を買いかぶり過ぎだけどええんか?」と送ったが、とりあえずカジュアルにお話しましょう、ってことになり実際に会うことになった。

親しみやすい変人

彼は38歳の中堅エンジニアで、年齢は僕よりちょうど一回り上なんだけど、感覚的には3つぐらい上の先輩という印象だった。勤め先がITベンチャーっぽい会社なので、FacebookなどのSNSをフル活用している「意識高い」感じの人かなと思ったが、全然そんなことなくて、iphone4sを今だに上手く使えてない、みたいなことを話していて、なんとなく親近感が沸いた。

そのくせ最新のプログラミング言語やらフレームワークやらの知識はかなり豊富で、僕はひたすら頷くことすら出来ず、終始無力感に苛まれていた。それはそれで貴重な刺激になったと思う。

他にもたくさん話のネタをもっていて、小学校に上がる前からプログラミングをしていたとか、ドラクエを2,000時間やってるとか、ボーカロイドのコンピレーションCDに自作曲が収録されて印税をもらったとか、本当に色んな意味で凄い変人で、楽しい人だった。

彼が勤めている会社は先進的というか、彼のような変人が集まった少数精鋭タイプの会社らしい。ニートをスカウトするなんて、てっきりアジア系の出稼ぎ労働者と一緒に働く非正規派遣とかかと思ったが全然そんなことなくて逆に驚いた。

偉そうに断る

「実は来月から働くことになっているのでそちらの会社に入ることはできない」と正直に話すと、「別に今すぐというわけでなくていい。一緒に働くのは3年後や5年後でもいいから、今後もITエンジニアらしく個人同士の関係を持ち続けたい」という素敵なことを言ってくださった。

彼が言うには、僕の文章を読んで「自分と同じ感覚を持ってる」と直感したそうだ。あんな雑な記事をじっくり読まれ、更に面と向かって感想を言われて僕は恥ずかしい限りだったんだけど、向こうは至って真面目なので、困惑しながらもやっぱり嬉しかった。

社長と会うことに

最初の会合が先週で、まあしばらくそれっきりかなと思っていた矢先、「次は社長を交えて3人で話そう」というメールが来た。なんか話が大きくなりすぎて、もうどうにもでなれって感じだ。

数カ月前までろくに大学に行かずに部屋で引き篭もっていたクズニートにとっては、あまりに変化が目まぐるしすぎて頭が追いつけていない。何も考えずにとりあえず今度会ってくる。

それにしても、まさか僕が書いた数百字程度のブログ記事が、このような人と人との関係に繋がるとは思ってもみなかった。

にーとぽーたる

共同ブログとしては、大した広告収入も得られず形としての成果は何一つ残せなかったわけだけど、僕らニートにとっては「何かを始める」時点で十分な前進であって、僕としては決して「失敗」だったとは思えない。

自分の文章力の無さを痛感したり、個人的には得るものが多かったし、なんと言ってもにーとぽーたるでの活動が、今回のような奇跡的な縁を生み出すきっかけになったのは事実だ。

「どうにかしたいけどどうにもならない」と焦っているニートに必要なのは、ちょっとした変化ときっかけなのかもしれない。運次第と言えばそれまでだけど、人生なんて多分そんなもんなんだろう。

そういう、人生を面白がるような気持ちの余裕を、これからも持ち続けたいと思う。