ニートワークエンジニア

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底辺への競争

最近観た、BS世界のドキュメンタリーの『底辺への競争』がなかなかショッキングな内容だった。

自由化の闇

EU諸国間ではモノやカネが自由に移動できるようになっているが、労働力もまた流動的だ。貧しい国の安い労働者がドイツやデンマークといった富裕国へ流れることで、その国に元々住んでいた人々の賃金が下がり、これまでと同じ生活水準では暮らせなくなる人が増えているようだ。

日本でも中国人や東南アジア系の人がコンビニとかで働いていたりするけど、EUの場合は自由化協定があるというだけでなく、下手に言葉が通じるということもあって出稼ぎの敷居がとても低いのだろう。

しかし、流入してくる低賃金労働者もまた不幸である。そのような人間が働ける職場はいわゆる3Kのような職場しか無く、それも日本の新卒がよく言う『ブラック()』なんてレベルじゃなく、復帰不能な後遺症を負うような事故が多々起こったり、未払い賃金が支払われること無く航空チケットだけ渡され無理やり帰国させられたり、逆に企業から訴えられたりもするほどヤバい。

黒幕は派遣会社

黒幕は人材派遣会社だ。でも別にすべての派遣会社が悪いわけじゃなくて、安い労働者をひらすら使い捨てるだけというビジネスモデルが蔓延していることが問題のようだ。

中には労働者の告訴から逃げるために1年毎に社名を変え、本拠地も転々している派遣会社もあるらしい。このドキュメンタリー番組で尻尾を掴もうとしていたが、結局失敗に終わっていた。

悪行は他にいくらでもある。内部告発しようとした労働者を、なんと拉致、監禁といった武力で押さえつける会社もあって、こうなるともはや派遣では無くただのヤクザなんだけど、その会社がEU最大レベルの派遣会社なんだから更にヤバい。

日本でも多重請負の問題はよく聞かれる。原発事故の後処理ではあまりに人手不足なので下請け構造の最下層は地元のヤクザ紛いのとこが人間を集めているって何かの本で読んだ。

けれどそれが国家間レベルで日常的に行われているのがヨーロッパの現状と言える。自由にビジネスができるということは、規制を潜り抜けた極悪企業もまた国家間で暗躍できてしまうということなのだろう。

EU解体しかない

労働局的な役所が仕事してなからこんな惨状が起きているんだろうけど、国家間でそういう規制を徹底させていくのは地域性が多様過ぎて難しいだろうし、何より政治的な部分では摩擦ありまくりで協調できるはずが無いので、そうなるとEUを解体して昔に戻るしかないのかな?となる。

知識が足りないとどうしてもこういう短絡的な結論にしかならないのでもっと勉強しないとダメだな。とりあえず、日本の労働市場はEUに比べれば言語やら文化やら島国属性といった壁で囲まれているが、20年後はどうなってるかわからないということを肝に銘じておくべきだろう。