いくつか説明会に行ってみたものの、職歴なしニートが入れるようなIT企業はほぼ全てがいわゆる特定派遣だった。正社員として雇いつつ、社員を客先に3〜5年程度の周期で常駐させるスタイルだ。
先週面接を受けた2社はどちらも特定派遣型。こっちが面接してやるつもりで色々と突っ込んだ質問をしたのでこの業界についてちょっと勉強できた。
ちなみに来年から法改正で現在の特定派遣という括りは無くなるが、ここでは「客先常駐の正社員」という労働形態を特定派遣と呼ぶことにする。
特定派遣(という働き方)は無くならない
ビジネスのスピードがどんどん早まっている昨今では、プロジェクトの管理や整理が結構重要だ。ダメになりそうな事業は潰して新しい事業に移行、というようなことをみんな常にやっている。それに伴う人員の配置転換がある限り、特定派遣のような労働形態は無くならないとは思う。
あと、ベテラン技術者をすぐに確保したい場合も特定派遣はすごく便利だ。重要な仕事を任せたいけど、自社で人を育てるには時間がかかりすぎる。だから多少マージンを取られても優秀な人をすぐに欲しい、という要求はどこにでもあるだろう。
つまりベテラン技術者なら熟練の傭兵のようにどこでも生きていける。実にかっこいい。
ベテランになれなかったら死ぬ
でも大企業のように普通に勤め続けてれば自然にキャリアを積んでベテランになれるわけでは無い。派遣先がどのように特定派遣社員を扱うかによって全然違うからだ。
派遣社員の将来を少しでも考えて、指導したりスキルを身につけさせるよう促す意識のある派遣先ならいいが、そんな義理堅い企業が実際あるのだろうか。
僕はやっぱり若手の派遣はしょせん派遣としかみなされないと思う。客先からすれば、言葉は悪いが便利で使い捨て安いという理由で受け入れているに過ぎない。本当に必要な人間なら引き抜かれるはずだし。
客先が新人派遣社員を育てる義理なんて基本的に無いと思った方がいいだろう。そしてそんな環境で働くと疎外感を感じずにはいられないのではないか…。
だから特定派遣の会社を選ぶ時は、自社での教育制度の良し悪しが結構重要になってくると思う。
派遣だからこそ自社での教育が大事
客先で育ててもらえないのなら、自社で如何に成長できるかを考えたほうがいいと思う。
特定派遣社員のキャリアをちゃんと考えている派遣会社なら、しっかりとした初期教育、自社内での勉強会、派遣先が違っても自社の社員と交流をもちやすい環境などを整備しているはずだ。
また、完全に派遣だけではなく、キャリアアップの機会を提供するために自社サービスや、外部からプロジェクトを請け負って自社内のチームでの開発もしている会社もある。
教育に力を入れないということは、つまり長期間雇う意志が無いということ。そういう会社はブラック扱いしてもいいと思う。
求人サイトでIT企業を調べていると星の数ほど見つかるが、上記のポイントで絞っていくと比較的大丈夫そうな(非ブラックな)会社はかなり限定される。まあそれでも第二次ITバブルというだけあってそこそこ多いが。
引き抜きってあるの?
面接の時に聞いたが、引き抜き自体は稀だが実際あるらしい。
ただし大手の派遣会社は無断での引き抜きを防ぐために「引き抜き禁止協定」みたいなものを締結しているようだ。そりゃ有能な人材を取られまくったら派遣会社としてはやっていけない。
だから本気で転職する場合は正式な契約として紹介料を要求するという。まるでプロスポーツ選手の移籍みたいだ。
結局どうなのよ
色々書いてみたけど身近に特定派遣の人がいないし、ネットを調べれば悪い話しか出てこないからよくわからない。家族や友人は、やっぱりリーマンの惨劇のイメージが強いのと、「登録型の一般派遣」と混同していることもあって、賛同してくれる人は一人もいない。
面接に行っても基本的に良い話しかされないし、転職エージェントにいたっては執拗に僕を励まし内定承諾を勧めてくる。そりゃそうするのが彼らそれぞれのインセンティブだから当たり前なのかなと冷めてしまう自分がいる。
なんかもう、誰を、何を信じればいいのかわからず八方塞がり状態。特定派遣という働き方が実際アリなのかナシなのか、僕は未だに判断できないでいる。
それでもまあ、ニートよりは遥かにマシなことはわかっている。